木村興楽園は江戸時代の作家初代木村長十郎を祖とする備前の中でも屈指の名門で、長い伝統と歴史を持つ窯元です。
現当主木村純雄氏(作家名は木村長十郎友敬)で十五代目になります。
木村興楽園の当主は代々長十郎を名乗ってきましたが、十三代目からは長十郎友敬を襲名するようになりました。
現当主木村純雄氏は大阪大学卒業の秀才で、前職は英語教師でした。
その語学力を活かし、備前焼の窯元を訪れる外国人観光客の応対を一手に引き受けていることもあります。
また米国、カナダなどの駐日大使の訪問を受けるなど国際交流にも尽くしています。
木村興楽園は長い伝統を持ちながら、外国人の方にとても親しみやすい窯元でもあります。
木村興楽園は窯元としては、茶器や花入れ等の器を得意としています。
当NPOメンバーの木村興楽園備前焼作家の木村茂夫氏は特に花入れにこだわりを持ち、「花入れは備前焼本来の地味な色で花の鮮やかな色彩を引き立たせる。まさに備前焼に一番らしい作品だと思う。」(木村茂夫氏)と話しています。
そして器を得意としつつ作品のバラエティも多彩で、獅子や兜の置物を手掛け美術業界で高い評価を得ています。
木村興楽園は実は教育現場と深い関わりがあります。
皆さんの小学校の校庭などで二宮尊徳(二宮金次郎)の像を見かけたことはありませんか?
実はその二宮尊徳の像を手掛けたのは木村興楽園かもしれません。備前は学校の校庭にある二宮尊徳像の一大産地であります。そして木村興楽園は備前でも屈指の二宮尊徳像製作者です。
木村興楽園は戦前より全国各地の二宮尊徳像を手掛けてきて、特に金属が不足していた戦時中においては備前焼の二宮尊徳像を国の要請で多数手掛けていました。
その一部は当時日本の支配下にあった中国の満州や朝鮮半島など海をわたったものもあると言われています。
そして現在でも、木村興楽園は学校より注文を受けて多くの二宮尊徳像を創り続けています。